歯とからだの話
2018/08/17

おたふくかぜも、 本来は 口の中の病気

口の中というのは複雑かつデリケート。
ちょっとしたきっかけでいろいろな病気が発生します。

耳の下あたりがはれる病気で、おたふくかぜというのがあります。正しくは耳下腺炎といって、耳の下にある耳下腺が炎症を起こす病気です。
この耳下腺というのは、実は囗の中に唾液を分泌するための唾液腺のひとつなのです。

唾液腺は、おもなものでは耳下腺、顎下腺、舌下腺の三つがあり、
そのほかに小さなものがたくさんあってこれが囗の中に唾液を送り出しています。

そしてこの唾液が私たちの囗の中を健康に保ち、また消化を助けてくれているのです。
ですから唾液腺が病気になると、口の中の健康も保てなくなるし、食べ物の消化にも支障をきたします。
耳下腺炎は主として、子どもの病気ですが、慢性の唾液腺炎は、大人がかかります。
また炎症の副産物として唾液腺に石ができて痛む唾石症、唾液の分泌に支障が起きる唾液腺の嚢胞などがあります。

唾液の分泌が少なくなる口腔乾燥症はドライマウスともよばれ、
何かの原因で脱水症状を起こしたときや、糖尿病に伴うものなど、
いろいろなケースがあります。

また年をとると、だれでも唾液の分泌は減りますから、高齢者は大なり小なりこの症状をもっていると考えてよいでしょう。

そのほか、真菌といわれるカビの一種に感染して起こる
口腔カンジダ症というのもあります。

多くは口内炎のように口の中に潰瘍ができて広がります。
また、口の中にもガンはできます。多いのは舌、それから歯茎やほおの内側などです。異常に気づいたら、まずはかかりつけの歯医者さんに、そして場合によっては大きな病院の口腔外科にということになります。

心が引き起こす身体の病気、いわゆる心身症やノイローゼは、
口の中にも起こります。

緊張すると口の中がからからになるなど、口の中は人の心の動きに敏感に反応するところですから、ちょっとしたストレスが病気をつくってしまうことも、おおいにありえます。
また顎関節症や口腔乾燥症なども、調べてみると実は心に原因があったりしますし、心因性の味覚異常*なども少なくないようです。
最近増えているといわれる口臭ノイローゼなども、そのひとつでしょう。

味覚異常 囗の中の異常ですが、根源的にはほとんどが全身的、または心因的原因。寄生虫、麻薬、脳出血、精神障害などによっても引き起こされ、まれに遺伝性のものもあります。

 

引用元:
新訂 歯がわかる本 監修 鴨井久一 ㈱みずうみ書房発行