歯周病の初期、つまり歯肉炎とよぶ段階では、歯磨きだけでたいてい治ってしまいます。もちろん、いいかげんな歯磨きでは治りませんが、歯肉のマッサージを含めたていねいな歯磨きをきちんと続ければ、初期の歯肉炎は必ず治ります。
歯茎が赤くなっていて、歯肉炎と診断されたら、歯垢や歯石を取ってもらったあと、歯科医の指示に従って、毎日きちんとブラッシングをしてください。歯肉炎にかかっている人はブラッシングで血が出ますが、極端に多量でない限り、出血は気にしなくても平気です。そして、定期的に診察を受けて経過をみてもらいましょう。この治療の難しいところは、毎日ブラッシングするのは歯科医ではなく患者さん自身だという点です。それも歯科医の見ていないところで磨くわけですから、きちんと磨けているかどうか、定期的にみてもらうことは不可欠です。
もっとも、正しいブラッシングを前からやっていれば歯肉炎にはならなかったはずです。つまり、ブラッシングは歯科予防医学の最前線というわけです。
歯肉炎がもう少し進むと、歯茎がぷよぷよしてきます。とくに歯と歯の間のところがはれて、やわらかい感じになってきたり、歯が少しぐらついたりします。ここまで来ると、もう中等度の歯周病の領域に入っていて、歯槽骨も溶けはじめています。この段階でもなお、歯垢や歯石をていねいに取り除いて、根気よくブラッシングを続ければ治ってきます。もう少し積極的な治療として、歯周ポケットに抗生物質のゲルを入れて細菌を退治する方法、ぐらついた歯をしばらくの間、固定する方法などもあります。
ただし、歯周病は治っても繰り返し起こりやすいので、治ったあともブラッシングを怠らず、定期的に検診を受けるようにしましょう。
病気が重度の歯周病まで進み、もはやブラッシングなどと悠長なことをいってはいられない段階になる前に、ぜひ気づいてほしいものです。
これで歯周病を撃退しよう!!
自分で毎日ていねいなブラッシング
歯周病予防に効果のあるバス法でブラッシングしましょう。
歯肉と歯の境目にブラシを45度の角度であて、歯周ポケットの中にブラシの先を入れてやさしくふるわせます。
さらに歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯ブラシでは取りにくい歯と歯の間や歯茎の近くを清潔に保ちます。
歯科医院で定期的にプロのお掃除(PMTC)
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)とは歯科医院で、機械を用いて毎日のブラッシングで落としきれない歯と歯の間や歯肉の奥に付いたヨゴレを、集中的に清掃すること。歯周病の予防のほかにも、むし歯の予防や口臭予防にも効果的です。
歯がわかる本 鴨井久一監修 みずうみ書房刊