歯とからだの話
2018/08/24

口元美人はスマイル美人

エクササイズをはじめよう!!

欧米では見知らぬ他人同士でもエレベーターで乗り合わせたりすると、ニコッとして短いあいさつを交わします。日本は無視し合う方が多いように感じます。若い女性がニコッとしたらその気があると誤解されることもあります。歴史風土の違いが「スマイル/笑顔」に対する認識の違いに反映されているのでしょう。
江戸時代には、武士はニヤニヤしてはならず、3年に1度、片頬が緩む程度でいいと教育されていたらしいし、当時の女性はお歯黒をしていました。今の女性には、ほぼ、すたれた習慣ですが、笑う時に手を口元に当てて歯を隠すしぐさが示唆するように、歯は人に見せるべきものとは考えなかったようです。
ニコッとして美しい歯を見せることに価値を認めるのは、日本の伝統文化ではありません。それでも、今の日本ではスマイルが重要視されています。
美しいスマイルには美しい歯が欠かせません。歯が見えないスマイルは寂しいし、見えすぎて歯肉まで露出するのもちょっと変です。
理想的には、リラックスして唇がわずかに開いた時少し歯が見え、笑った時に上唇のラインが上の歯と歯肉の境目にあって、上の歯の両端のラインが下唇の上に接するのがいいとされています。

この歯の見え方は歯の位置と唇の長さにより決まります。歯が前方に位置すると歯が露出しやすくなり、後方に入り込むと見えません。また、歯が前に出ると歯が見えやすくなると同時に、その上にある唇も前に張ってきます。その結果、若さが感じられるようになりますが、度を越すと品がなくなります。逆に、歯が引っ込むと、唇の張りがなくなります。上品な感じにはなりますが、ややもすると唇のしわが多くなり、老けた感じになります。
歴代のCM女王の顔写真を見ると、欧米の基準より前歯が目立つ方が多いようです。日本人の顔は凹凸が少ないせいか、そのほうが健康的で明るい感じがしてチャーミングなのだと思います。
研究論文では、一般的に男性より女性が、年輩者より若者のほうが歯の露出度が多いようです。唇をリラックスさせた時の平均値は、20代の女性は上の前歯の両端が3.5ミリ見えるのに対し、50代の女性は0.5ミリしか見えないようです。これは歯が短くなるからではなく、唇の筋肉や組織の張りが落ちて垂れ下がり長くなるからです。
そこで若々しい口元を保つためには、口角を引き上げる筋肉を普段から鍛練させて、垂れ下がらないようにすることをお勧めします。そのエクササイズの方法についてはイラストを参考にしてください。

引用元:
歯のトラブル知らずになる本 中村輝夫著 山海堂刊