むし歯の穴が認められたら、なるべく早く歯科医院で治療してください。穴が開いてしまってから躊躇しても仕方ありません。むし歯が小さい時なら1〜2回の治療であまり痛みもなく完治させることができます。「まだ痛くないから」と放っておくと、細菌が深部の神経に達してひどい痛みに悩まされることになります。
また、治療も歯の神経を取ったり、何回もかけて消毒したりと、通院回数も多くなります。そして、神経を取ってしまった歯は弱くなって詰め物では補修できなくなることも多く、冠をかぶせる必要も出てきます。すると、見た目や微妙な噛み合わせも心配しなければならないなど、何もいいことはありません。
歯に少し黒い部分が見つかった、白濁した部分ができた程度なら、削らずに治まることがあります。
最近、「冷たい物がしみるからむし歯になったのでは?」と心配している方がいらっしゃいますが、その場合、むし歯でなく知覚過敏である場合のほうが多いようです。むし歯の心配をしすぎて、ごしごし歯磨きし、歯肉をすり減らして歯の根の部分を露出させた結果、冷水にしみるようになってしまうことも多いので、注意しましょう。過ぎたるは及ばざるが如しです。
若い時はむし歯で歯を抜くことが多いけれど、高齢者では歯周病で抜くことが多いと考えられていました。しかし最近の調査で、高齢者でもむし歯で抜くことのほうが多いことが分かってきました。命ある限り、自分の歯で食べたいものです。たかがむし歯と侮らず、しっかり治療しましょう。もちろん、その前に予防ですね。
引用元:
歯のトラブル知らずになる本 中村輝夫著 山海堂刊
歯のトラブル知らずになる本 中村輝夫著 山海堂刊