永久歯になる時は要注意
子どもは乳児期には母乳からお母さんの免疫をもらっていますが、離乳期から12歳ぐらいまでは免疫機能が十分備わっていません。そのため非常にたくさんの細菌の攻撃を受けていることをご存じでしょうか。
特に影響のある細菌の感染は、母親からのミュータンス菌の感染です。母親のだ液(つば)中にこの菌が多いと、子どもにうつってしまいます。むし歯は口の中の細菌が作る酸によって、歯が免疫をもらっていますが、離乳期から12歳ぐらいまでは免疫機能が十分備わっていません。そのため非常にたくさんの細菌の攻撃を受けていることをご存じでしょうか。
特に影響のある細菌の感染は、母親からのミュータンス菌の感染です。母親のだ液(つば)中にこの菌が多いと、子どもにうつってしまいます。むし歯は口の中の細菌が作る酸によって、歯が溶かされる病気です。生まれたての赤ちゃんのお口は無菌状態です。口移しの食事や、同じスプーンやお箸を使った時に、だ液を介して細菌が子どもに感染するのです。お母さんの口の中の衛生状態が良いと、細菌の数も少ないので感染の危険性が少なくなります。スウェーデンの研究では、妊娠中から定期的に母親の口の中をケアしたことによって生まれてから3歳までの子どものむし歯が50%も減少したという報告があります。
また、フッ素を積極的に使うことも有効です。歯科医院でフッ素を塗ってもらうことも有効ですが、もっと効果的なことは、毎日の歯みがきにきちんとフッ素の含有量が明示された歯磨剤を使うことです。これについては歯科医院で相談してみると良いでしょう。フッ素は、塩と同じミネラル成分で、人間の体にとって毎日必要なものです。食事と同じように、毎日、低い濃度のフッ素を歯にとりこむことが有効といえます。もちろんフッ素は大人の歯にとっても、むし歯予防に効果があります。
それから、乳歯から永久歯に生え変わる時期も気をつける必要があります。よく、「乳歯はいずれ生え変わるから虫歯になって大丈夫」と思っている人がいるようですが、とんでもない話です。小さいころから、歯磨きをしたりおやつの時間を決めたり、バランスのとれた食生活をして歯を大事にする習慣がついていない子が、永久歯が生えてからいきなりするようになるわけがありません。
乳歯がいっぺんに抜けて、永久歯が1本ずつ生えてくるわけでもありません。乳歯が虫歯だらけになっている環境はむし歯菌でいっぱいです。そこに永久歯がはえてくるのですから、もちろん虫歯菌に感染します。乳歯から永久歯に虫歯菌が感染しないようにしなければ、大事な永久歯をだめにしてしまいます。
乳歯のうちから、虫歯はきちんと治療し、少しでも虫歯菌を減らしておきましょう。
永久歯が生え揃う頃(12歳ごろ)になると、免疫力もついてきますし、歯を再石灰化する力もついてくるので、虫歯にはなりにくくなりますが、18才前後、親元を離れるころに、また虫歯ができてくることがあります。親の監督下を離れて、食生活が不規則になることなどが原因と思われます。この時期も要注意です。
もう虫歯にならない! 花田信治著 新潮社刊