お口の中の話
2018/10/24

ドライマウス(口腔乾燥症)

ドライマウスは様々な原因で起こります

「シェーグレン症候群」という言葉をきいたことがありますか?
女性に多くみられる全身性の自己免疫疾患で、ドライマウスやドライアイ(乾燥性角膜炎)といった乾燥症状がみられます。
また、つばが出にくく、いくら真面目に歯磨きしてもむし歯や歯周病にかかりやすいといわれています。

ほかにも、喉頭がんの放射線療法をしたために唾液腺が損傷を受け、唾液量が減りむし歯にかかりやすくなって苦労している方や、白血病の治療で骨髄移植し、免疫療法の副作用で唾液が減ってしまった影響で、歯を悪くして困っている方もいます。
このような特殊な病気によって唾液の量が極度に少なくなっている場合だけではなく、程度が軽くても、ドライマウスによって歯や歯周組織にダメージを受けている方も多いようです。

ドライマウスのおもな原因

生活習慣によるもの
不規則な生活やよく噛まない食生活を続けていると、唾液の分泌が低下します。
喫煙の影響で唾液の分泌が減ってくることもあります。

ストレスによるもの
唾液腺は自律神経に支配されています。
ストレスが大きいと自律神経の一つである交感神経が強く働いて、唾液の分泌が抑制されてしまいます。

代謝障害によるもの
糖尿病や甲状腺などの病気が原因で口腔乾燥が起こることもあります。
特に糖尿病患者さんには、ドライマウスの傾向があると言われています。

シェーグレン症候群によるもの
シェーグレン症候群という自己免疫疾患にかかると、涙や唾液の分泌量が極端に減少し、ドライアイやドライマウスといった症状が現れます。

薬の副作用によるもの
抗うつ剤や精神安定薬、睡眠薬などの向精神薬や降圧剤などの一部には、唾液の分泌量を減少させる作用もあります。

更年期によるもの(女性の場合)
更年期障害特有の自律神経の乱れから唾液の分泌量が減ることがあります。
また女性ホルモンの分泌量低下に伴って、唾液の量も減っていきます。

加齢によるもの
口の周りの筋肉や歯の衰えから咀嚼力・咀嚼回数が減ると、唾液の分泌量が低下します。
また加齢とともに唾液の分泌能力も落ちます。

病気治療の影響によるもの
がんの放射線治療によって唾液を分泌する組織が破壊されることがあります。
骨髄移植後に起こる合併症の一つとして口腔乾燥が現れる場合もあります。

口内は常に潤いを

唾液を減らさないようにするには、舌や噛むための筋肉を衰えさせないことが重要です。
唾液腺の機能を高めるストレッチを日々行なって、鍛えておきましょう。
もしドライマウスになってしまった場合は、飲み物を持ち歩いて常に口内の湿潤を保ち、歯磨きやうがいで清潔にすることが必要です。
症状が重い時はドライマウス用の保湿剤を利用することで症状が緩和され、日常生活が楽になります。

唾液腺の機能を高めるストレッチ

噛むための筋肉を衰えさせないためのストレッチです。
テレビを見たり、音楽を聴いたりしながら、リラックスして行なってみましょう。

舌のストレッチ

A:舌先で上下の歯茎の裏側全体に触れる
B:左頬、右頬の内側に舌先を当てて上下に動かす
※1日3回を目安にA,Bを3分繰り返す

口唇ストレッチ

口を動かして「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」とはっきり発音する
これを1分ほど繰り返す

※ドライマウスネットワーク監修

引用元:
歯のトラブル知らずになる本 中村輝夫著 山海堂刊