歯ぐきの腫れや出血はほっとけない
気づかぬうちに、歯の根元では歯周病がはじまっています。
歯周病は、歯を支えている骨、歯槽骨が溶けてしまう病気です。痛くもかゆくもないので、気づきにくいのが厄介なところです。「歯ブラシで磨くと血が出る」、「歯茎が腫れている」程度のところで気づくと、治療も比較的簡単ですので、ちょっとおかしいな、と思ったら、迷わず歯科医に行きましょう。
歯周病の治療もむし歯の治療と同じように、検査からはじまります
まず、歯周ポケットの検査(ポケット・プロービング)をします。
ポケットの検査ですが、ポケット内の歯垢をきれいにとり除き、歯肉の腫れがおさまってから、細い器具を歯と歯茎のすきまにさし込み、歯周ポケットの深さを測り、出血のあるなしなど歯肉の状態を調べます。
歯と歯茎がぴたっとついていれば、ポケットはできないのですが、もともと1㎜ぐらいの歯内溝というすきまがあります。これが、歯周病のために30歳代半ばぐらいから徐々に深くなって、歯と歯茎の間にすきまがあいてくるのです。
このすきまに入り込んだ歯周病菌が毒素や酵素を分泌します。これらに抵抗し、身を守ろうとして歯肉が炎症を起こすのです。炎症は毒素と体を守ろうとする免疫物質が戦っている証拠です。この状態が歯肉炎です。そして、体を守る働きが、菌によって汚染された部分を排除しようとするために歯を支える骨(歯槽骨)まで溶かしはじめ、歯周病へと進行します。
この時重要なのは、X線検査です。歯を支える骨に変化がないか調べます。歯周病が歯の根元まですすむと、歯を支えている歯槽骨が、自分にも害が加わることを恐れ、退却していくと思ってください。この歯槽骨が減っていっていないかを調べるのが、X線の検査です。
さらに歯周病が進行すると、歯槽骨が溶け、歯茎が下がって、歯の根の部分が見えてきます。こうなると、歯茎から出血したり、膿が出てきたりして、口臭もしてきます。歯槽骨が溶けると、歯を支える力を失い、歯がグラグラ動くようになります。これが歯周病の末期です。
歯周病は誰にでも起こる病気です。早期発見があなたの歯を救います。
歯周病の進行
歯肉炎
歯石やプラークが原因で歯ぐきに炎症を起こし歯ぐきが赤くはれて出血し易くなります。
軽度歯周炎
歯肉の炎症が進行すると歯と歯肉の付着器官が溶け、歯周ポケットができます。
中等度歯周炎
炎症がさらに悪化すると歯槽骨が溶けて歯根部が露出し、冷たいものや熱いものがしみたりします。
重度歯周炎
歯槽骨がほとんど無くなり歯根が露出し、最後には抜けてしまいます。
むし歯・歯周病/花田信弘・井田亮・野邑浩美著 小学館刊