食事の回数とむし歯にどんな関係があるのかと不思議に思うかもしれませんが、食べものに含まれている糖が口の中に入ると、口の中のミュータンス菌は糖を取りこんで酸をつくり出します。そのため、歯の組織からミネラル（リンやカルシウム）が酸によって溶かされます。
これを「脱灰」といいます。

脱灰にならないために気をつけること

唾液が十分に分泌されていれば、唾液が口内にある酸を洗い流し、中和してくれます。
しかも唾液に含まれているカルシウム・リン酸・フッ素イオンを使って「再石灰化」を助けます。
分かりやすくいえば、歯も皮膚のように、古い表面がはがれ（脱灰）、新しい表面ができる（再石灰化）という新陳代謝をくり返していて、唾液がそれを助けているのです。

ところが、飲食の回数が多いと、頻繁に入ってくる糖によって脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、大きく脱灰へ傾いてしまいます。
口の中のむし歯菌も、糖とくっついてどんどん歯へ張りついていき、バイオフィルムをつくっていきます。

●対　策

だらだらと時間を決めずに間食をとるのはもっともよくありません。
特に、寝る前に甘いもの（飲み物も含めて）をとるのは絶対にやめましょう。
できるだけ決まった時間に食事をとるようにしてください。歯を守るだけでなく肥満防止にも役立ちます。

「甘いのものが大好き」はやっぱりダメ

ミュータンス菌が歯にくっつくようになるには、砂糖と出会う必要があります。
砂糖の摂取量が多いということは、ミュータンス菌がどんどんくっつきバイオフィルムが増えるということです。
そして、一度バイオフィルムができると、ミュータンス菌はバイオフィルムのもとになっているネバネバ（グルカン）を分解して、それをエサにして乳酸をつくり続けてしまいます。
そうなると、それ以上砂糖が入ってこなくても、むし歯をつくり続けてしまうのです。

他の多くの糖と砂糖が違うのは、この「グルカンをつくり出す働き」と、「バイオフィルムの中で乳酸をつくりつづける働き」の両方を引き出すカを持っている部分です。
むし歯をつくる悪の二大巨頭が砂糖とミュータンス菌ですから、この二大巨頭が手を組まないようにしなければなりません。

意外と多い清涼飲料中の糖分

市販の飲料には、意外にも糖分が多く含まれています。

缶コーヒー(250ml)……角砂糖6.5個
コーラ(250ml)……角砂糖7.5個
スポーツ飲料(250ml)……角砂糖5個
サイダー(250ml)……角砂糖6.5個
※角砂糖1個＝3.6g／約14kcal

●対　策

できるだけ砂糖の摂取量を減らしましょう。
甘いものを食べていないつもりでも、缶コーヒーや清涼飲料水を飲んではいませんか？
街中で売られている商品は、私たちが思っている以上に多くの糖分が含まれています。
飲食をする際は成分などを確認するなどして、糖分に注意してみてください。