春先には、花粉症やアレルギー性鼻炎などに悩まされる方も多いと思います。
その際に服用する薬が歯周病などの症状を招くことがありますが、口の中をいつも清潔にしていれば、ある程度防ぐことができます。
アレルギー性鼻炎と抗ヒスタミン剤
春風が吹きはじめ、万物が活気を取り戻す季節になりますと、花粉症など外界の影響を受ける疾病がみられてきます。
「アレルギー性鼻炎」はそのような環境下で生じる疾病の一つですが、これらの病気の中で抗ヒスタミン剤などの薬を服用すると、口の中に疾患が生じることがあります。
薬による囗の中への影響
スギの花粉が鼻腔から入ると生体で感作され、アレルギーによる鼻炎によって鼻がつまったり、呼吸がしにくくなったりする症状があります。
これらの症状を抑えるために薬を服用するかと思いますが、薬による副作用もあります。
主に持続性の抗ヒスタミン薬を服用していると、一般的には眠くなる、頭痛や倦怠感などを感じることがあり、とくに消化器系には、口が渇く現象が強くみられます。
口が渇いて唾液が出にくくなると、食物を噛んで小さなかたまりをつくっても、唾液が少ないために食道を通って胃へ食物を送り込むことができにくくなります。
また、食べかすは大量に歯に付着してプラーク形成を促進させてしまうので、その結果、プラークによる炎症が起こり歯茎が腫れてきます。
この状態で口腔内の清掃が行き届いていないと、歯肉にも炎症が生じ、歯肉炎へと移行します。
さらに放置してしまうと、まわりの溝が深くなり歯周炎へと発展します。
薬の投与を中止すれば唾液の流出量は元に戻り、自浄作用によって歯や歯茎はある程度食物の摂取で、自助的に汚れを除去することができます。
しかし一般的にいってアレルギー性鼻炎の場合は、これらの薬を中止することは難しいと思われます。
お口の乾燥を予防しよう
薬を中止できない以上、口が渇いてしまう症状が起きやすくなります。
以下の方法で、口の渇きやそれに伴う症状も予防していきましょう。
1.なるべくよく噛んで、つばを出すようにしましょう。
2.こまめに水分補給をしましょう。
3.お口の中を清潔にしましょう。
このように歯茎は全身代謝の指標の一つとなっており、様々な病気に対しての反応を示します。
歯茎の具合が悪くなる前に、自分自身で歯ブラシを十分に使用してプラークコントロールを行なってください。
また、口が渇くことによって食べかすがたまりやすくなるため、お茶などを飲んで汚れをためないように気をつけましょう。
お口の健康 ア・ラ・カルト 鴨井久一著 医歯薬出版 刊