お口の中の話
2018/10/30

歯周組織のしくみとはたらき

歯の周りにある、歯を支えている組織を「歯周組織」といい、歯周組織におこる病気を「歯周病」と総称しています。
歯周組織は以下のものからなっています。
1.歯肉:一般に歯ぐきと呼ばれ、歯の根もとである歯根と骨をおおっている粘膜の部分
2.歯槽骨:あごの骨のうち、歯根が入り込んでいる部分
3.歯根膜:歯根と歯槽骨をつなぐ膜の部分
4.セメント質:歯根の表層部分

歯と他の歯周組織を接合している歯肉は、食物などをかんだときに加わる圧力から歯周組織を守るはたらきがあるほか、生体を防御するしくみ(防御機構)があり、歯肉が健康な状態のときは細菌やその毒素が簡単に入り込めないような機能が備わっています

歯槽骨はかんだときの圧力を受けとめている

上下のあごの骨(顎骨)は、それぞれ「上顎骨」「下顎骨」と呼ばれ、歯は、上顎骨・下顎骨にしっかりと支えられています。
上下の顎骨は、主体となる骨体部と歯が植わっている(歯根が入り込んでいる)歯槽骨(歯槽突起、歯槽部ともいう。)に分けられ、歯を支えるほかに食物などをかんだときにその圧力を受けとめる役割を果たしています。
この歯槽骨は、からだのほかの部分の骨と同様、古い骨の吸収(破壊)と新しい骨の形成(添加)をくり返し、常に新しいものに置き換わっています。
これを骨のリモデリング(再構築)といい、歯槽骨では、からだのほかの部分の骨と比べて高率にリモデリングがおこっているのが特徴です。

歯根膜はかんだときにクッションの役目をする

「歯根膜」は歯根表面のセメント質と歯槽骨をつなぐ、厚さ0・15~0・38㎜の薄い膜で、膜の厚みは常に一定に保たれています。
歯根膜にはコラーゲン線維が多く含まれ、歯は、歯がおさまっている骨の穴(歯槽)の中で、コラーゲン線維によってつるされているような状態になっています。
ものをかむ力が歯に加わると、歯根膜中の水分や血液・リンパ液のはたらきによって力を受けとめて歯槽骨に伝え、力を分散させています。
食物の微妙な歯ざわりや砂粒、小石などの異物を感じとれるのも歯根膜があるからです。
また、セメント質は歯根部で象牙質の外側をおおっているかたい組織です。

付着上皮は細菌から歯を守っている

歯と直接接している歯肉の部分を「付着上皮」といいます。
付着上皮の細胞間のすき間からは微量の滲出液が出ていて、滲出液に含まれる好中球や免疫グロブリンなどの成分が、細菌やその毒素を処理するなど、生体の防御に重要な役割を果たしています。
しかしプラークが大量に付着すると、防御システムのバランスがくずれて炎症が起きてしまいます。

 

引用元:
歯と口の健康づくり 基本120 扶桑社刊
歯にいいはなし 香川県歯科医師会編 医歯薬出版株式会社発行