健康的なイメージが強いスポーツ飲料。
大人には効果的かもしれませんが、乳幼児に与えるときには注意が必要です。
続けて飲んでいると、エナメル質が溶けてしまう
スポーツ飲料は、運動後の糖類・水分補給に適している飲み物かもしれませんが、乳幼児や重症心身障がい者へ、過剰にいつまでも飲ませた場合、むし歯になる確率が高くなるといわれています。
その理由は、むし歯は口腔内環境のpHが5.7以下になると酸性度が強くなり、歯の表面(エナメル質)に酸が付着して脱灰(エナメル質を溶かす作用)現象がみられるためです。
したがって、スポーツ飲料を持続的に飲み続けていると、むし歯の始まりである「脱灰現象」が起きてきます。
この時に、間食をしない人の場合は、食物を摂取した際にpH値が下がり一時的に酸性度が強くなりますが、口の中の唾液による中和作用で酸の付着が弱められます。
しかし、休む間もなく糖分を摂り続けていると、唾液中のpHが酸性に傾き、中性に戻る能力を失ってしまいます。
寝る前には飲ませず、飲んだらしっかり歯磨きを!
スポーツドリンクを寝る前に飲んだり、乳幼児に哺乳瓶で与えることは極力避けましょう。
乳幼児は大人に比べて水分補給が大切ですが、スポーツ飲料を飲ませなくても水道水などによる補給で十分と考えられます。
乳幼児は味覚の発達や学習する時期でもありますので、砂糖やクエン酸入りの飲み物を与えてしまいますと、記憶の中にインプットされ、水道水などの水を飲むことを拒否する場合が生じてきます。
どうしても飲む必要がある場合は時間の間隔をおいて
糖類の中でむし歯の発生に影響しない糖アルコール(砂糖代替甘味料)は、インスリンの誘発性もなく、低カロリーで食品の保湿目的で多くの食品に使用されています。
また、むし歯になりにくい食品の甘味料としても使われています。
スポーツ飲料というと健康的なイメージが強いのですが、乳幼児の摂取には十分注意しましょう。
どうしてもというのであれば、半分にうすめてから与えるという方法もあります。
与える時間の間隔を十分において、飲んだあとは歯を磨くなどを心がけるとよいでしょう。
お口の健康ア・ラ・カルト 鴨井久一著 医歯薬出版発行