こどもの話
2018/11/16

繰り返す子どものむし歯

むし歯を繰り返してしまう原因は?

子どもにむし歯ができてしまい、治療したのにまたむし歯になってしまった…。
そんな経験はありませんか?
次々にむし歯になってしまうのには、様々な原因が考えられます。
■ 歯みがきが不十分
■ だらだら食べたり甘いものを食べる
■ 悪い歯並び(歯列不正)のため、歯みがきが難しい
■ ホルモンの変化により唾液の緩衝能(酸性に傾いた口の中を薄めてくれる力)が低下している
■ 生えたばかりの歯(幼若永久歯)のため、酸に弱い

「むし歯」ができるまで

そもそも「むし歯」はどのようにできるのでしょうか?

1.口の中にいるむし歯菌が、食べ物から糖分を取り込む
2.むし歯菌がネバネバした成分を出して、プラーク(菌の住処)を作る
3.プラークの中で酸を出す
4.エナメル質が溶けてむし歯になる
このように、むし歯菌がはき出す「酸」によって溶かされてしまった部分が「むし歯」となります。

乳歯のむし歯が重症化すると…

乳歯のむし歯を放置してしまうと、むし歯が歯髄まで進行して歯がズキズキと痛んできます。
この症状は短期間で消えることがありますが、むし歯が治ったわけではなく、 神経が活動しなくなるだけで細菌は増え続けています。
放置を続けると、歯根の先や歯ぐきにうみがたまります。
さらにむし歯が重症化すると、あごの骨の内部に感染が拡大し、ほっぺたが腫れてくることもあります。
このような状態になると日常生活に支障がでるうえに、治療をしても病巣を完全に無くすことが難しくなり、最終的に歯を抜かなければならない状況になります。
「乳歯ならいずれ抜けるから大丈夫」と考えず、乳歯であっても重症化する前に早めに歯科医院を受診するべきです。

子ども一人に歯みがきを任せて大丈夫?

むし歯にならないように、あるいはむし歯を悪化させないためにも歯みがきはきちんと行ないたいものです。
しかし歯みがきを一人で上手にすることは、大人でも難しいことでもあります。
そのため、少なくとも子どもが乳歯列の間(小学校に入るころまでくらい)は、子どもだけではほとんど磨けないと思って、仕上げみがきを毎日してあげることが重要です。
3歳ころまでは、いわゆる「仕上げ」の意味は少なく、むしろ保護者による歯みがきが中心と考えてよいでしょう。
もちろん、子どもだけで歯を磨く習慣は必要になってきますので、保護者による歯みがきは、必ず子どもが歯みがきをした後にしてください。

お家でお子さんのむし歯に気づくために

むし歯を重症化させないために、お子さんの口や歯に関心をもって、変化を見逃さないであげてください。
塾帰りなどの飲食後や夜食後は、できるだけ早く磨くように気をつけてあげましょう。
いつもきれいなお口でいられるように、食べる時や歯みがきの時にいつもと違うと感じたら歯をチェックしてみてください。

歯みがきだけでのむし歯予防は難しい

普段行なっている歯みがきは、歯の表面についたプラーク(歯垢)を歯ブラシで落とすことです。
これにデンタルフロスを使ったお掃除を加えても、口の中の細菌を全部取り除くことはできません。
たとえ歯みがきで細菌の数が減っても、数日すれば細菌の数は元に戻ってしまいます。
そのため、歯みがきだけでむし歯を完全に防ぐことはとても難しいと言われています。
食生活の見直しや歯科医院で定期的に診てもらう、フッ化物の歯面塗布を行ない歯質を強化するなど、歯みがき以外の予防策も取り入れることが大切です。

引用元:
歯で泣く人笑う人 本田理恵著 医歯薬出版(株)刊
お母さんに知ってほしい子どもの口と歯のホームケア 医歯薬出版(株)発行
親と子の健やかな育ちに寄り添う乳幼児の口と歯の健診ガイド 第2版 医歯薬出版(株)発行