むし歯と同じように歯周病も、細菌がつくるバイオフィルムが原因で起きますが、それだけでなく、いくつかの要因が重なって起きてきます。歯周病を引き起こしたり、悪化させるような要因をいくつかあげていきます。
要注意!病の最大の敵タバコ!!
タバコが体に悪いことは誰でも知っていることですが、歯の健康にも非常に害があります。タバコを吸っている人ほど歯周病の進行は早く、禁煙しないかぎり、歯周病の治療も効果があがりません。
タバコを吸うと、末梢血管が収縮します。歯肉の血液循環も当然悪くなります。そのため、歯周病になると、歯周病によって起こる炎症の治りが悪くなります。また、体の抵抗力も弱まり、体を守る働きや自己修復する働きを狂わせてしまいます。
タバコを吸うことは、体にとっても歯にとっても「ゆるやかな自殺行為」なのです。
対策
禁煙以外にはありません。ストレス解消にはタバコが必要だという人もいますが、タバコなしでストレス解消する方法はいくらでもあります。タバコを吸わない人はどうしているか参考にしてはいかがでしょう。
糖尿病と歯周病の深い仲
タバコと並んで歯周病に大きな影響を与えるのが糖尿病です。
糖尿病患者が歯周病になりやすく、悪化させることが多いことがわかっています。血糖値が高くなると傷が治りにくいことや、唾液が出にくくなることが関係しています。
歯周病は歯茎の炎症から起こりますが、糖尿病で血糖値が高いと、炎症もなかなかおさまってくれません。また、唾液は口の中で水をまいて清掃をする散水車のような働きをしています。この水が足りないのですから、歯周病もどんどん進行していきます。
歯周病をほうっておくと、糖尿病になる危険性があるし、糖尿病予備軍の人や、すでに糖尿病の人は、歯周病の治療をしないと、ますます糖尿病が悪化してしまう危険性があるのです。
対策
まず食べ過ぎに注意し、ゆっくりよく噛むこと。次にとにかく歩く、エレベーター、エスカレーター、動く歩道は使わないなど、日ごろから体を動かすことを心がけましょう。
知らず知らずに歯をくいしばっていませんか?
噛みしめや歯ぎしりも歯茎を痛める原因になります。
無意識に歯を噛みしめると、想像以上に強い力が歯にかかります。歯茎に炎症が起きているところに歯ぎしりや噛みしめの強い力がかかると、歯を支える組織の破壊が急速に進んでしまいます。歯ぎしりや噛みしめは精神的ストレスが原因と考えられます。また、運動するときなどに無意識で歯を食いしばっているものですが、それが習慣になってしまっている人もあるようです。
対策
ストレスの解消法を見つけることが大切です。噛みしめるくせを治すには、自分の歯に合ったマウスピースのようなスプリントを歯科医院でつくってもらうとよいでしょう。
参考文献:むし歯・歯周病/花田信弘・井田亮・野邑浩美著 小学館刊