歯とからだの話
2018/07/12

意外とこわ〜い歯周病

歯周病は「歯の病気」だから、歯周病にかかってもせいぜい歯がなくなるくらいのことで、全身の健康とは別のものだと考えていませんか? 答えはNOです。最近の歯周病に関する研究において、歯周病は心臓や肺の病気、糖尿病、また流産や早産といったさまざまなことに関連し、私たちの健康に深くかかわっていることがわかってきました。

歯周病からくる口腔細菌が影響を及ぼすさまざまな疾患

動脈硬化

お口の中の歯周病菌が血流を介して心臓に運ばれ、その血管が炎症を起こし、心内膜炎や動脈硬化を引き起こす可能性が考えられます。ある研究によると、歯周病患者の心疾患による死亡率は健康な人の1・9倍、心臓発作は2・8倍といわれています。

人は、健康な人に比べて歯周病にかかりやすいといわれています。これとは反対に、歯周病の治療を行うことによって、糖尿病患者のHbA1c(血糖値のコントロールがうまくいっているかどうかを示す検査値)の値が低下することが多く報告されています。糖尿病の治療に歯周病治療が一役買っているということです。このことから、お口の中の疾患である歯周病と全身性の疾患である糖尿病が、お互いに深く関与していることがわかります。

誤嚥性肺炎

摂食や嚥下時(物をのみ込むとき)の気道閉鎖機能が衰えた老人において、歯周病菌をあやまって肺や気管支に送り込むことにより、肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こすことが知られています。とくに寝たきりの老人において、原因不明の微熱が続くような場合、お口の中をていねいに清掃することにより、それが治ったという報告もあります。

早産・低体重児出産

妊婦が重度の歯周病にかかっている場合、歯周病菌の毒素が体内の炎症性物質を増加させることにより、低体重児出産や早産の引き金になると考えられています。また、喫煙や飲酒と同様に流産とも深くかかわっているといわれています。
これらのことから、お口の健康は、全身の健康と互いに深く関係をもっており、予防医学の第一歩ということができるでしょう。まさにお口は「体の入り口、健康の入り口」なのです。

引用元:
・歯医者さんを知ろう クインテッセンス出版刊