うがいは風邪の予防や、のどの痛みなどを和らげるだけでなく、口の中の悪い細菌を除去し、清潔にする効果があります。うがい薬を上手に使って口腔の環境をととのえましょう。
うがいの効果
うがい薬というとふつうは、風邪をひいたり、のどが痛むときに、咽頭や扁桃といった上気道の炎症の緩和に用いられますが、扁桃炎、咽頭炎、口内炎、抜歯後の感染予防、口腔の消毒や洗浄などの目的でも使われています。一般的にはポビドンヨード、アズレン、2%重曹水、オラドールなどが用いられています。
外に出て帰ってきたときは、よく「うがい」をすることが大切だといわれますが、これは本当のことです。口の中には多くの細菌が生息しており、200種以上の細菌が人を宿主として共生しています。この口の中の細菌は、適切な条件で生息している限り宿主である私たちの体をむやみに攻撃したりすることはありません。口と同時に健康な大腸の中には多くの腸内細菌が検出されますが、医学的にはその細菌によって健康が保たれています。
口の中の細菌を除去
口の中で生息している細菌には、歯や歯肉のまわりに付着する細菌がいます。これを歯垢(プラーク)といいます。このプラークはむし歯や歯周病の原因になります。そしてこのプラークを除去するのに歯ブラシによるブラッシングという方法があります。しかし、歯ブラシで歯垢を完全に取り除くことは、よほど熟練しないと困難な場合が多いようです。また、脳梗塞や脳性麻痺などで手が不自由となり、歯ブラシがうまく使えない場合もあります。
このような場合、義歯であれば介護者に外してもらって、義歯を十分洗浄してもらったり、口の中が汚れている場合はうがいをして口腔内を清潔にします。口の中の環境をととのえることが大切です。うがいは、歯ブラシのように完全にプラークの汚れを取ることはできませんが、ある程度口の中の汚れを除去し、清潔にすることができます。その意味で、悪玉菌を気道のほうへ落として誤嚥性肺炎などを起こさないようにするためにも大切な方法です。
うがい薬の使い方
たかがうがいと思いがちですが、口腔の環境をととのえる意味で重要な役割を担っているものなのです。最後に、うがい薬の使用方法と注意事項をあげてみます。
①うがい薬には、そのまま用いるものと、薄めて(あるいは溶かして)用いるものがあります。後者の場合は、薬袋の説明書の指示にしたがって、そのつど、うがい液を作り、使用するようにして下さい。
②うがいは通常1日3~4回行います。のどの奥深くまで液が届くようにすると効果的です。ただし、飲み込まないように注意しましょう。
③口腔の荒れなどの症状が現れた場合には中止し、医師に相談しましょう。うがい薬の保存には、直射日光や高温の場所を避けて下さい。
お口の健康ア・ラ・カルト 鴨井久一著 医歯薬出版㈱刊