歯周病は生活習慣病のひとつです
歯周病を悪くする因子を理解するためのキーワードは「家族」です。
家族という単位は、まず歯周病の原因である細菌の感染ルートになります。次に、歯周炎の原因となる炎症を引き起こす免疫のはたらきは遺伝に影響されることから、家族の病歴を知ることが診断に役立ちます。加えて、喫煙や口腔清掃習慣および飲食習慣など、歯周病に影響する生活習慣は家族によって決められがちです。このような点から、歯周病は家族をひとつの単位として考えるべき病気なのです。
口のなかには多種多様な細菌がすみつき、互いに協力したり拮抗したりしながら安定した状態をつくっています。このため、よそ者を受け入れにくいという特徴があり、新たな細菌にはなかなか感染しません。親から子、夫から妻のように、何年も生活をともにするような長期間の接触があって、初めて感染すると考えられています。家族が細菌の感染ルートになるのはこのためです。さらに歯を支える組織の破壊には、細胞の増殖や活性化などを調節する機能が関わっていますが、その機能には遺伝による違いがあることがわかってきました。また白血球のはたらきが悪く、細菌に対してからだを守る機能が弱いなど、特殊な原因をもつ人もいます。このような特徴も遺伝によって伝えられます。
このため、家族に重症の歯周病患者がいる場合には、本人だけでなく、家族全体の歯周病を予防しコントロールするという考え方が必要です。
家族単位でみる歯周病リスク
引用元:
徹底図解 むし歯・歯周病 熊谷崇・秋元秀俊監修 法研刊
徹底図解 むし歯・歯周病 熊谷崇・秋元秀俊監修 法研刊